ユーザーとサーバーの設定


複製とサーバートポロジー
ネットワーク上の IBM(R) Lotus Domino(R) Server の数が増加するにつれて、ネットワークに情報を分散するために必要な複製の量も増加します。複製にはメモリと処理時間がかかるため、複製を実行するためのサーバーの接続方法を決めておく必要があります。特定のサーバーが 1 つのデータベースを複数のサーバーに複製したり、複数のデータベースを複数のサーバーに複製できるようにする場合など、サーバーのランダムな複製を許可すると、サーバーに能力以上の複製要求が殺到して、クライアント要求の応答に支障がでる場合があります。

効率の良い複製を行うには、複製専用サーバーをいくつか設定することを考慮してください。専用のサーバーを使用して複製を処理すると、データベースサーバーが複製に費やさなければならない作業量が大幅に削減されます。これは、データベースサーバーは特定のデータベースのコピーを管理している各サーバーに対して複製を実行するのではなく、複製サーバーのみに複製を行えばよいためです。複製を制御するには、複製するサーバーとその時期を指定した接続文書を作成します。

複製を行うためにサーバーに接続する方法は、物理ネットワークのレイアウト、組織の規模、作成した既存の接続文書をメールの配信用に再使用するかどうかなどの、多くの要素に左右されます。サーバー間での複製の実行方法を制御するために使用できる設定、つまりトポロジーには、次のような種類があります。


最も効率的なパフォーマンスを実現する複製方針を選択してください。多くの場合、ネットワークの部分によって異なるトポロジーが使用されます。

ハブスポークトポロジーを使用して複製を管理する一般的にハブスポークトポロジーは、大規模な組織では最も一般的で効率のよい複製トポロジーです。この方法を利用すると、ネットワークトラフィックを最小限に抑えることができます。ハブスポーク複製トポロジーでは、1 台の中央サーバーをハブとして構築し、このサーバーを使ってスポークと呼ばれる他のすべてのサーバーとのすべての複製スケジュールを設定したり、複製を開始したりします。スポークは複製とメール配信によってハブサーバーを更新し、ハブは順番に各スポークを更新します。ハブサーバーは、1 台以上のハブを使用する組織内で、他のハブサーバーやマスターハブサーバーの複製を実行します。つまり、ハブサーバーはシステムのトラフィックマネージャーのような役割をします。ハブサーバーは、システムリソースを管理し、各スポークサーバーに対して複製を順番に実行し、すべての変更をすべてのスポークサーバーに確実に複製します。
ハブスポークシステムで複製を設定するには、ハブスポーク接続ごとに接続文書を 1 つ作成します。スポークではなく、ハブで複製タスクのほとんどの作業が常に行われるようにするには、各接続文書に送信側サーバーとしてハブサーバー、受信側サーバーとしてスポークサーバー、複製方法として Pull Push を指定します。

ハブスポークトポロジーは、複数のサーバーがある大規模なサイトや、電話回線や専用回線で各地に分散した地域オフィスに接続する中央オフィスでの使用などに適しています。大規模サイトでは、トポロジーを組み合わせて使用できます。たとえば、2 つのハブスポークトポロジーを構築し、2 台のハブサーバー間でピアーツーピアートポロジーを使用できます。

ハブスポークトポロジーの最大の欠点は、障害が 1 カ所で発生しハブが動作しなくなった場合に、全体が機能しなくなる可能性があることです。ハブを複製し、1 次ハブに障害が発生したときに素早くハブサーバーに再設定できるバックアップサーバーを導入すると、この欠点を補うことができます。

ハブスポークトポロジーの利点
1 複数のハブサーバーに複数のプロトコルをインストールすることによって、単一の IBM(R) Lotus Domino(R) システムから複数のプロトコルを使用して通信できるようにします。これによって複数の Lotus Notes の名前付きネットワークのハブサーバーが、他のソースを効率よく使用できるようになります。通常単一のハブサーバーとそれに接続されているスポークサーバーが 1 つの Lotus Notes の名前付きネットワークを構成しますが、それらのハブサーバーを接続することにより複数の Lotus Notes の名前付きネットワークを接続することができます。

2 LAN や WAN といったネットワークの一部のブリッジになります。

3 Domino ディレクトリの一元管理、データベース ACL の標準化および、ハブへのアクセスを制限します。ハブには [管理者] アクセス権を、スポークには [読者] アクセス権を指定し、ハブにあるレプリカを変更して、スポークと同期化することができます。

4 ロールでハブを指定します。たとえば、複製に使用するハブとメールに使用するハブなどのように区別します。

5 ハブにメール送信のエージェントのようなサーバープログラムを置き、簡単にアクセスできるようにします。

6 ハブサーバーを使って、リモートサイトと接続します。

7 ネットワークトラフィックを最小限に抑え、ネットワークの効率を最大限に引き出します。

8 ハブでデータのバックアップを集中管理します。ハブだけでデータベースをバックアップすることで、スポークサーバーのリソースを節約できます。

9 サーバーの負荷を分散させます。しかし、ハブの LAN セグメントでネットワークトラフィックは増大します。1 台のハブに 25 台以上のサーバーが接続されている場合は、ハブを階層化します。ハブがダウンした場合、そのハブを使用する複製やスポークは、ハブが修理されるか交換されるまで使用できません。

メモ 3 台以下のサーバーにレプリカがある 100MB を超えるデータベースはハブスポークで複製をしないでください。その代わりに、他の複製とは別に、これらのデータベースを複製するようスケジュール設定します。

ピアーツーピアートポロジーを使用して複製を管理するピアーツーピアートポロジーでは、各サーバーは他のすべてのサーバーと接続しており、複製はハブスポークの設定よりも分散されています。ピアーツーピアーによる複製では変更内容がすべてのサーバーに迅速に反映されるため、小規模の組織や、少数のローカルのサーバー間でデータベースを共有するような状況に最適です。ただし、データベースが多くのサーバーに保存されている場合には、効率が悪くなります。
ピアーツーピアートポロジーでは、ハブや中間サーバーを経由せず、互いに複製し合う 2 台のサーバーだけが接続されるので、複製に関する問題が少なくなります。ただし、ピアーツーピアーによる複製の場合、多くの接続文書が必要となり、管理が複雑になります。これは、複製スケジュールが重複して行われるのを避け、ACL 要求の標準化が行われないようにする必要があるためです。

その他のトポロジーによる複製複製を管理するその他の方法に、クラスタ複製を使用する方法があります。この方法では、1 台のサーバー上のデータが 1 つ以上のクラスタメンバで複製されるため、データに常にアクセスできることが保証されます。1 次サーバーに障害が発生した場合は、クラスタ内の他のサーバーからデータを取得できます。
クラスタの設定について詳しくは、「クラスタの設定」を参照してください。

その他の複製トポロジーには次のものがあります。


既存のメール配信接続を複製に使用する複製の実行計画を立てる際は、IBM(R) Lotus Notes(R) のメール配信用に既に設定してある接続を再使用することを考慮してください。メール配信用の接続文書を以前に作成した場合は、その文書で複製タスクを簡単に有効にできます。
メール配信は 1 方向に機能するため、双方向の配信を有効にするには 2 つ接続文書が必要ですが、サーバー間の複製は両方向に機能するため、2 台のサーバー間には 1 つしか接続文書は必要ありません。複製タスクを実行するサーバーは、複製の負荷を多く請け負うため、2 台のサーバー間のメール配信に既に使用している接続文書のどちらかに複製を追加する場合は、2 台のサーバーのうちより強力な方のサーバーの文書に複製タスクを追加するようにします。

関連項目