MAIL
たとえば、インターネットに常時接続していない組織は、ローカルメールサーバーが ISP サーバーをコールして ISP サーバーから送信待ちのメッセージを取得つまり「プル」するまで当該組織の ISP の提供するリモートメールサーバーを使ってメールを保留する場合があります。ISP メールサーバーで SMTP ETRN コマンドがサポートされる場合は、SMTP を使ってメールを「プル」するよう Lotus Domino Server を設定できます。ローカル Lotus Domino Server も IBM(R) Lotus Notes(R) 配信プロトコルを使用して、Lotus Notes ダイレクトダイヤルアップ接続経由でリモート Lotus Domino Server からメッセージをプルできます。
リモートサーバーからメールをプルするよう Lotus Domino を設定するデフォルトでは、ローカルサーバーがリモートサーバーへの接続を実行するときに、ローカルサーバーはその接続を使ってリモートサーバーへメッセージをプッシュします。ローカルサーバーがリモートサーバーから送信待ちメッセージを「プル」することはありません。代わりに、ローカルサーバーは、リモートサーバーが接続を実行してこれらの送信待ちメッセージを配信する場合にのみリモートサーバーからメールを受信します。このデフォルトの動作を変更して、ローカルサーバーがリモートサーバーにメッセージを送信する同じセッション中にリモートサーバーからメッセージを取得できるようにするには、ローカルサーバーがリモートサーバーに「Pull 要求」を送信するよう設定します。 ローカルサーバーが「Pull 要求」を送信するように設定した場合、ローカルサーバーはリモートサーバーにメッセージを送信して、ローカルサーバー用の送信待ちメッセージをすべて配信するよう要求します。Pull 要求を受信するリモートサーバーは、SMTP ホストなら Lotus Domino Server でなくても構いません。リモートサーバーは、「Pull 要求」を受信すると、メールキューに接続元サーバー用の送信待ちメッセージがないか調べ、そのメッセージの転送に必要な処理を開始します。
SMTP 配信を使う場合は、相手サーバー (「Pull 要求」を受信する側) で ETRN プロトコルが有効になっていることを確認します。有効になっていない場合、相手のサーバーは Pull 要求を受信できません。さらに、リモートサーバーは、メッセージを確実に送信するため、接続元サーバーの DNS ホスト名を解決して IP アドレスに変換できる必要があります。通常、ETRN を使う場合、接続元サーバーに静的な IP アドレスがあり、この IP アドレスが DNS で送信待ちメッセージを保留するサーバーに対して有効になっている必要があります。
メモ 一部の ISP では、接続のたびに DHCP を使ってホストに新しい IP アドレスを割り当てます。接続のたびにリモートシステムから新しい IP アドレスを割り当てる場合、プル配信を使うようダイヤルアップシステムを設定することはできません。
ダイヤルアップ配信の設定時には、リモートサーバーが接続を確立できるように接続元サーバーが回線を開いておく時間を指定できます。この設定により、リモートサーバーから送信待ちメッセージが転送されないうちに、接続元サーバーが回線を切断することを防止できます。接続元サーバーは Pull 要求を送信し、リモートサーバーへのメッセージがあればプッシュし、リモートサーバーから送信待ちメッセージが配信されるのを待ちます。
接続元サーバーは、Pull 要求を送信するとき、接続元サーバーが受け持っている組織内の他のサーバー、ドメイン、ホスト、すべてのキュー名へのメッセージも要求できます。
ETRN コマンドETRN をサポートすると、ダイヤルアップ SMTP ホストは、自分のメッセージを保留している SMTP サーバーにこれらのメッセージの配信時期を通知できます。ETRN を使うことにより、ダイヤルアップホストが単一セッション中にメールを送受信するため、サーバーは帯域幅のリソースを効率的に使用できます。 ETRN は Extended Turn という意味です。RFC 1985 に定義された SMTP サービス拡張コマンドの 1 つで、RFC 821 に最初に定義された SMTP TURN コマンドより、セキュリティがより強固になりました。TURN コマンドを使うと、SMTP セッションに含まれるホストが各自のロールを逆にして、たとえば、Server1 が SMTP メッセージを Server2 に送信する場合に Server1 がこの TURN コマンドを発行して Server2 が送信者で Server1 が受信者とすることができます。
ただし、TURN コマンドには呼び出し側ホストの身元を照合する機構がないため、このコマンドを使うにはセキュリティ上のリスクが伴います。サーバーに不正侵入する悪質なユーザーは、別のユーザーのインターネットドメインに属していることを装い、TURN コマンドを使ってそのドメイン宛てのメッセージを取得する可能性があります。
ETRN コマンドでは、SMTP セッション中に送受信のロールを再定義することによって、このセキュリティホールを埋めることができます。たとえば、Server1 が Server2 に ETRN コマンドを発行した後に、ETRN が Server2 に Server1 との新規 SMTP セッションを開くよう指示します。Server2 は Server1 の名前を解決して DNS の IP 番号に変換する必要があるため、新規 SMTP セッションを適切なコンピュータと開くには、Server2 のほうが Server1 よりも適しています。
Lotus Domino が ETRN を使ってダイヤルアップ接続経由で新規メールを取得するには、ISP でこのコマンドをサポートする必要があります。使用している ISP を調べて、このコマンドがサポートされているかどうかを確認します。また、ISP の SMTP サーバーのポート 25 に対して telnet 接続を確立することにより、コマンドがサポートされているかどうかを確認することができます。SMTP セッションの開始後に、EHLO と入力して [Enter] キーを押します。ISP の SMTP サーバーからの応答に、サーバーが ETRN をサポートするかどうかが示されます。
Lotus Notes ダイレクトダイヤルアップ接続とネットワークダイヤルアップ接続について詳しくは、「Lotus Notes ダイレクトダイヤルアップ接続を作成する」と「ネットワークダイヤルアップ接続を作成する」を参照してください。
一時的な接続を使ってメールを配信するようサーバーを設定するには 1 SMTP 配信の場合、送信サーバーのサーバー設定文書の [ルーター/SMTP] - [基本] タブで、ローカルインターネットドメイン外部に SMTP を使ってメッセージを送信できるようにします。 2 Lotus Domino Administrator で [設定] タブをクリックし、[メッセージング] セクションを展開します。
3 [接続] をクリックします。
4 [接続の追加] をクリックします。
5 [基本] タブで、次のフィールドを設定します。
[ネットワークダイヤルアップ] - このダイヤルアップ接続を使って SMTP 経由でメールを配信するサーバーに、このオプションを選択します。このオプションを NRPC 配信に使うこともできます。
[ダイヤルアップモデム] - この接続を使って NRPC 経由で別の Lotus Domino Server にメールを配信するサーバーにのみ、このオプションを選択します。
ISP サーバーへの SMTP 配信接続の場合、たとえば internet.isp.com など ISP サーバーのホスト名を入力します。使用している ISP の必要条件に応じて、指定したホストをアウトバウンドメール、インバウンドメール (ETRN を使う)、またはそれら両方のメールに使用できます。指定したホストをアウトバウンドメールに使用する場合、サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] - [基本] タブの [ローカルインターネットドメインから送信されるメールのリレーホスト] フィールドに同じホスト名を入力します。
ISP サーバーへの SMTP 配信を設定する場合は、このフィールドは空白のままにしておきます。
8 変更内容が有効になるのは、次にルーターの設定を更新した後です。新しい設定を直ちに有効にするには、配信設定を再ロードします。
関連項目