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Domino ディレクトリとメール配信
Domino ディレクトリ (NAMES.NSF) は、サーバーで最も重要なデータベースです。Domino ディレクトリは、Lotus Domino ネットワークに、Domino ディレクトリが同じサーバーのグループである Lotus Domino ドメインという 1 次管理ユニットを定義します。Domino ディレクトリは、Lotus Domino ドメインのコントロールセンターとして機能します。システム管理者は Domino ディレクトリを使って、ユーザーを管理し、サーバーを接続して設定します。Domino ディレクトリには、メールの配信に必要な重要な情報のほとんどすべてが含まれます。

最初の IBM(R) Lotus Domino(R) Server の設定時に、設定プログラムによって Lotus Domino ドメインの Domino ディレクトリが作成されます。ドメインの各サーバーには、ドメインの Domino ディレクトリのレプリカが保存されます。Lotus Domino 複製は、各サーバーの Domino ディレクトリを同期化します。

Domino ディレクトリに加え、Lotus Domino では、サーバーの NOTES.INI ファイルからと、SMTP を使ったメール配信の場合には別個に保守管理されているドメインネームシステム (DNS) からも情報が取得されます。

Domino ディレクトリは、LDAP をサポートしているため、適切なアクセス権がインターネットメールクライアントに与えられている場合は、LDAP を使用してディレクトリを検索、編集できます。

Lotus Domino ルーティングテーブルルーティングテーブルは、特定の Lotus Domino Server から接続可能なその他のすべてのサーバーへの接続のリストです。Lotus Domino は、ルーティングテーブルを使用して、メールを配信する最適で最小コストのパスを判別します。サーバーでルーターを起動すると、ルーターは NOTES.INI ファイル、および Domino ディレクトリにあるサーバー設定文書、接続文書、ドメイン文書、サーバー文書から情報を収集して、動的なルーティングテーブルを作成します。
ルーターは、サーバーまたは Router タスクが再起動すると、自動的にルーティングテーブルを再計算します。また、ルーターは約 5 分間隔で Domino ディレクトリを調べて、変更があるかどうか確認します。Domino ディレクトリの参照元文書で変更を検出した場合、ルーターはルーティングテーブルを作成し直して、新しい情報を取り込みます。

メモ NOTES.INI ファイルまたは Domino ディレクトリの配信情報の変更は、ルーティングテーブルの即時の再計算をルーターに強制するものではありません。

TELL コマンドを使用すると、ルーターを再起動しないで、ルーティングテーブルを更新できます。要求に応じたルーティングテーブルの更新機能は、新しい設定をテストする場合に特に便利です。設定更新のための TELL コマンドの使用方法について詳しくは、「メール配信の設定」の章を参照してください。

ルーターが Domino ディレクトリを使ってメール受信者を検索する仕組みユーザーがローカルドメインの受信者にメールを送信すると、ルーターは、受信者のユーザー文書で受信者のホームサーバーがリストされている Domino ディレクトリの [$Users] ビューで完全なアドレスを検索します。ディレクトリアシスタントが設定されている場合は、ルーターは 2 次ディレクトリでアドレスを検索することもできます。受信者のホームサーバーが現在のサーバーの場合、ルーターによってメッセージが配信されます。別のサーバーの場合は、ルーターはルーティングテーブルを参照して、受信者のホームサーバーへメッセージを配信する最適な最小コストのパスを決定し、そのパス経由でメッセージを配信します。
指定されたディレクトリで一致する受信者が見つからない場合、「スマートホスト」が設定されていればそこにメッセージが転送されます。スマートホストは、ローカルドメインに含まれていても Domino ディレクトリに登録されていないユーザーのディレクトリを使用するサーバーです。たとえば、UNIX の sendmail システムから Lotus Domino メールシステムに移行する場合に、変換されていないユーザーが残っていることがあります。このような場合、UNIX サーバーをスマートホストとして設定し、sendmail ユーザーを検索してメールを配信できます。サーバー設定文書の [ルーター/SMTP] - [基本] タブの [ローカルインターネットドメインスマートホスト] フィールドにスマートホストの名前を入力します。

メールの配信に使用する文書Domino ディレクトリでは、メッセージングトポロジーの定義にさまざまな文書が使用されます。必要に応じて、次の文書を作成または編集する必要があります。
文書説明
サーバー文書すべての Lotus Domino Server にはサーバー文書が必要です。サーバー文書は各サーバーに次の設定を行います。Lotus Notes 名、IP アドレス、完全修飾インターネットホスト名、Lotus Domino ドメイン、設定するサーバーがメンバーとなっている Lotus Notes 名前付きネットワーク、インターネットメッセージングで使用可能なポートとサービス (IMAP、POP、SMTP の各ポートなど)、各ポートのセキュリティオプション。
サーバー設定文書サーバー設定文書は、送受信メールのサーバーによる処理方法を決定する追加情報を指定します。SMTP 配信と Notes 配信に対するルーター設定の定義、SMTP インバウンドの制限の設定、MIME 変換情報の指定、IMAP クライアントと Lotus Domino Web Access クライアントのメールアクセスの設定を行います。
接続文書接続文書は、現在の Lotus Domino ドメインまたは Lotus Notes 名前付きネットワークの外部のサーバーへの配信パスを定義します。
グローバルドメイン文書グローバルドメイン文書は、Lotus Domino ドメインの内側と見なされる、ローカルドメインがメールを受け入れるインターネットドメインを定義します。送信者の Lotus Notes メールアドレスを SMTP アドレスに変換する方法も指定します。
隣接および非隣接ドメイン文書隣接および非隣接ドメイン文書は、現在のドメインが、指定された隣接ドメインまたは非隣接ドメインに宛てられたメールを受信する場合の受信元のドメインを指定します。非隣接ドメイン文書では、ローカルドメインが直接接続していない Lotus Notes ドメイン宛てのメールを配信する場合に経由する中間ドメインも定義します。
異種 SMTP ドメイン文書異種 SMTP ドメイン文書は、Lotus Domino ドメインと SMTP メールシステムとの関係を定義します。
インターネットサイト文書インターネットサイト文書は、IMAP ポート、POP3 ポート、SMTP ポートのプロトコル情報を指定します。この文書を設定すると、サイト文書の情報がサーバー文書内のポートの設定より優先されます。
ファイル識別文書ファイル識別文書は、ファイル拡張子と、さまざまなファイルの種類の MIME タイプやサブタイプとの関係を定義します。
ユーザー文書ユーザー文書は、ユーザーのメールファイルのロケーション、Lotus Notes メールアドレスおよびインターネットメールアドレス、HTTP アクセス、POP3 アクセス、IMAP アクセスに必要なインターネットパスワード、優先するメールの保存形式に関する情報を指定します。

Lotus Domino システムのホスト名保守管理を簡単にするために、Domino ディレクトリにサーバー情報を入力する際に、IP アドレスではなく完全修飾ホスト名を使ってサーバーを参照します。Lotus Domino では IP アドレスは完全にサポートされますが、数値指定のアドレスはホスト名よりも頻繁に変更されます。たとえば、サーバーを新しいサブネットに移動した場合、または再編成の結果 2 つのネットワークをマージする場合、TCP/IP が適切に機能するには、サーバーの数値指定による IP アドレスを変更する必要があります。一方、同じ文書でホスト名を使用する場合は、更新の必要はありません。
関連項目