セキュリティ


インターネットパスワードを保護する
インターネットパスワードは、悪意のある攻撃者の対象となることがあります。次に例を示します。
Domino ディレクトリに保存されているインターネットパスワードへのアクセスを保護したり、インターネットパスワードを推測しにくくするには、次の機能を複数使用します。
xACL を使用してインターネットパスワードを保護するインターネットパスワードを保護する方法としては、拡張 ACL (xACL) を使用して、フォームレベルとフィールドレベルで名前階層内のレベルに基づいてアクセス権を制御する方法があります。
Domino ディレクトリに保存されたパスワードの場合、管理者は xACL を設定して、インターネットパスワードへのアクセスを限定できます。ユーザーには自分自身のパスワードへのアクセスを許可し、管理者にはシステム管理上のパスワード変更を許可できます。

まず、Domino ディレクトリへの拡張アクセスを有効にします。

1 データベースを開き、[ファイル] - [アプリケーション] - [アクセス制御] を選択します。

2 データベース ACL で [管理者] のアクセス権が設定されていることを確認します。

3 [詳細] をクリックし、[拡張アクセスを有効] を選択します。

4 次のメッセージが表示されたら、[はい] をクリックして続行します。


5 次のメッセージが表示されたら、[はい] をクリックします。このメッセージは、データベース ACL の詳細オプション [このデータベースのレプリカはすべて共通のアクセス制御リストを用いる] オプションがまだ選択されていない場合にのみ表示されます。
6 次のメッセージが表示されたら、[OK] をクリックします。
7 [アクセス制御リスト] ダイアログボックスで [OK] をクリックします。

8 次のメッセージが表示されたら、[OK] をクリックします。


次に、拡張アクセスを設定してインターネットパスワードを保護します。

9 データベースを開き、[ファイル] - [アプリケーション] - [アクセス制御] を選択します。

10 [拡張アクセス] をクリックします。[拡張アクセス] ダイアログボックスが表示されます。

11 [対象] ペインで、[/] (ルート) を選択して [追加] をクリックします。

12 アクセスリストペインで、[Default] を選択します。

13 [フォームとフィールドのアクセス権] をクリックします。[フォームとフィールドのアクセス権] ダイアログボックスが表示されます。

14 [フォーム] リストボックスで [Person] を選択します。フォームのアクセス権を空白にします。

15 [フィールド] リストボックスで、次の手順を実行します。

16 [OK] をクリックします。

17 次のアクセスリストのエントリの [Person] で、[HttpPassword] と [dspHttpPassword] (表示されている場合) に対してこの操作を繰り返します。
アクセスリストエントリ読み取りアクセス権書き込みアクセス権
Self許可許可
[Local administrators group]許可許可
[Local servers group]許可許可
メモ [Anonymous] アクセスがアクセスリストに設定されていた場合、[Person] フォームの [HTTPPassword] と [dspHTTPPassword] (表示されている場合) で読み取りアクセス権と書き込みアクセス権を禁止に設定する必要があります。

メモ Domino ディレクトリに対して xACL を有効にすると、LDAP 匿名アクセスはすべてのサーバー設定文書のフィールドのリストで制御されなくなります。デフォルトの xACL 設定では [Anonymous] が [なし] のアクセス権であるため、xACL が有効になると匿名 LDAP 検索はすべて失敗します。

より安全な形式のパスワードを使用するインターネットパスワードを入力してユーザー文書を保存すると、[インターネットパスワード] フィールドは自動的に一方向暗号化されます。デフォルトのパスワードを改善するには、より安全な形式のパスワードを使用します。
既存のユーザー文書のパスワード形式をアップグレードすることもできますし、作成するすべてのユーザー文書でより安全な形式のパスワードを自動的に使用するようにすることもできます。

既存のユーザー文書の場合 1 Lotus Domino Administrator で、[ユーザーとグループ] をクリックし、より安全な形式のパスワードにアップグレードするユーザー文書を選択します。
2 [アクション] - [強固なパスワード形式への変更] を選択します。

3 [はい] をクリックします。

新規ユーザー文書の場合 1 Lotus Domino Administrator で、[設定] をクリックし、[すべてのサーバー文書] を選択します。
2 [アクション] - [ディレクトリプロフィールの編集] を選択します。

3 [より安全なインターネットパスワードの使用] フィールドで、[はい] を選択します。

4 文書を保存し、閉じます。

メモ ユーザーのインターネットパスワードを Lotus Notes パスワードと同期する場合は、より安全なパスワード形式が必要です。

悪意のある攻撃者がパスワードを推測できないようにするもう 1 つの方法は、単純にパスワードをより推測しにくくすることです。この場合、パスワードを長くて複雑なものにする、さまざまな文字を使用する、実際にある単語を使用しない、などの方法があります。

インターネットパスワードのロックアウトを使用するインターネットパスワードのロックアウトを使用すると、管理者は、Lotus Domino Web ユーザーや Lotus Domino Web Access ユーザーがインターネットパスワードによる認証で失敗可能なしきい値を設定できます。これにより、設定された試行回数以内でログインできなかったユーザーがロックアウトされるため、ユーザーのインターネットアカウントに対する総当たり攻撃や辞書攻撃を防ぐことができます。認証の失敗とロックアウトに関する情報は、インターネットロックアウトアプリケーションで管理されます。管理者は、このアプリケーションで失敗をクリアしたり、ユーザーアカウントをロック解除できます。
この機能は、サービス不能 (DoS) 攻撃を受けやすいことに注意する必要があります。DoS 攻撃とは、悪意のあるユーザーが、正当なユーザーによるサービスの利用を故意に妨げる攻撃のことです。インターネットパスワードのロックアウトの場合、攻撃者が意図的にログインを失敗することにより、正当なインターネットユーザーが Lotus Domino Server にログインできなくなる可能性があります。

メモ インターネットパスワードのロックアウトは、Domino Off-Line Services (DOLS) には影響しません。

インターネットパスワードのロックアウトには、次のような制限事項があります。


シングルサインオンでは、インターネットパスワードのロックアウト機能が有効な Lotus Domino Server 以外のサーバーでも、シングルサインオンのキーを発行する必要があります。別のソース (別の Lotus Domino Server または WebSphere サーバー) からこのキーを取得する場合、インターネットパスワードのロックアウトが有効であるかどうかに関係なく、SSO トークンは Lotus Domino Server 上で常に有効になります。

インターネットロックアウトデータベースインターネットロックアウトデータベース (inetlockout.nsf) は 次のような場合に inetlockout.ntf から作成されます。


インターネットロックアウトデータベースの ACL では、[管理者] アクセス権を持つのはデフォルトで管理者グループのみです。[Default] と [Anonymous] はアクセスが拒否されます。ただし、データベースの ACL を変更して、ユーザーの表示やロック解除を行うアクセス権をユーザーやグループに付加することができます。

Web ユーザーとして Lotus Domino にログインするユーザーについては、ユーザー名、認証の失敗回数、ロックアウトステータスなどのロックアウトの状態に関する情報は、インターネットロックアウトデータベースで管理されます。ユーザーがすでにロックアウトされているとき、またはログインに成功したときは、ロックアウトの試行はロックアウトデータベースに記録されません。ただし、インターネットロックアウトデータベースがロックアウト状態の情報を保持しているときにログイン失敗の履歴を記録する場合は、ログインの失敗とロックアウトの履歴情報を格納する場所を Lotus Domino ドメインモニター (DDM) とする必要があります。

インターネットロックアウトデータベースに保存されているユーザーのアクセス情報に対して変更が行われると、その変更はただちに反映されます。変更を有効にするために HTTP サーバーを再起動する必要はありません。

ロックアウトデータベースには、次の 2 つのビューがあります。


次のフィールドは、両方のビューに共通です。
ユーザーのロックを解除するには、レコードを削除します。

ツールバーで [Mark for Delete/Unlock] をクリックすると、ロックを解除するレコードまたは削除するレコードを複数選択できます。[Delete Marked Items] をクリックすると、選択したレコードを削除できます。

インターネットロックアウトデータベースに記録されているのが有効なユーザーのみであることを、定期的に確認することをお勧めします。名前が変更になったユーザーの名前、または Lotus Domino Server のユーザーではなくなったユーザーの名前を削除します。このデータベースは自動でクリーンアップされません。無効となったユーザーのレコードが残っていても機能的に問題はありませんが、データベースにレコードが多すぎると、インターネット認証のパフォーマンスが低下する可能性があります。

インターネットロックアウトデータベースには、ロックアウトをユーザーに通知するためのカスタムログインフォームを作成できます。カスタム Web フォームの作成方法について詳しくは、「Web サーバーのメッセージをカスタマイズする」を参照してください。

インターネットロックアウトデータベースを複製する
管理者は、インターネットロックアウトデータベースを他のサーバーに複製することが有用かどうかを判断する必要があります。データベースを複製する主な利点として、ロックアウト情報が複数のサーバーに複製されることを挙げることができます。任意の複製を開き、複数のサーバー上のユーザーのロックアウトステータスを確認できます。インターネットパスワードのロックアウトが有効なサーバーで、インターネットロックアウトデータベースを開く必要はありません。

ただし、複製にも欠点があります。たとえば、ネットワークが攻撃されたり、サービス不能攻撃を受けると、複製が過剰に発生することがあります。また、複製の実行が遅れると、特定のサーバー上でロックアウトデータベースを確認している管理者は、複製が行われるまで、ユーザーがロックアウトされていることを確認できない場合があります (ただし、確認しているサーバーのレプリカは直接はいつでも開くことができます)。

インターネットロックアウトデータベースは、ドメイン内のインターネットパスワードのロックアウトが有効なサーバーのレプリカではすべて同一のレプリカIDで作成されます。デフォルトでは、インターネットロックアウトデータベースは一時的に複製が無効にされています。これは、前述の複製の過剰な発生を防ぐためです。データベースを他のサーバーに複製するには、[複製の設定] ダイアログボックスの [その他] セクションで [複製を許可しない] オプションを無効にします。その後、データベースを複製するように設定します (スケジュール複製またはクラスタ複製)。

メモ このデータベースを他のサーバーに複製するときに、個々のサーバーで「無効な試行」情報が計算されます。たとえば、「John Doe」のしきい値が 3 に設定されている場合に、サーバー A で 2 回、サーバー B で 1 回の無効な試行が行われた場合、John Doe はどちらのサーバーでもロックアウトされません。試行は合計 3 回にはまとめられません。複製の目的は管理を容易にすることであり、グローバルしきい値を設定するためではありません。

インターネットパスワードのロックアウトを設定するインターネットパスワードのロックアウトはサーバー設定文書で有効にします。これにより、管理者は複数のサーバーでインターネットロックアウト機能を有効にできます。
メモ サーバー文書のオプション [強いセキュリティで少ない名前のバリエーション] を有効にすることをお勧めします。これにより、あいまいな名前による問題が最小限に抑えられます。Lotus Domino では、ディレクトリ内に同じ短縮名が複数ある場合でも、パスワードが正しければ短縮名で Web サーバーへログインできます。ユーザーがあいまいな名前を入力して誤ってログインしても、ログインを試みたユーザーを特定できないため、あいまい一致は失敗します。また、ロックアウトの有効期限設定による認証失敗のクリアは、ユーザー名とパスワードの一致が成功したユーザーに対してのみ行われます。

インターネットパスワードのロックアウトを有効にして設定するには
1 Lotus Domino Administrator で、[設定] - [サーバー] - [設定] をクリックします。インターネットパスワードのロックアウトを有効にするサーバーのサーバー設定文書を開きます。

2 [セキュリティ] をクリックします。[インターネットパスワードを強制的にロックアウト] 設定には、次の 3 つのオプションがあります。

インターネットパスワードのロックアウトのポリシー設定ログの設定を除いて、前述のオプションはユーザーポリシーでも指定できます。組織の一部のユーザーに対してのみインターネットパスワードのロックアウトを使用する場合は、この設定が有用です。この場合は、該当するグループにこの設定を適用できます。
インターネットパスワードのロックアウトのポリシーの使用方法について詳しくは、「セキュリティポリシー設定文書を作成する」を参照してください。

関連項目